今の会社を辞めたいけど
損害賠償をされたらどうしよう
今までの仕事のミスや
現在のとりかかっている仕事を
放棄したという形で損害賠償を
請求されるんじゃないか
なんて怯えることってあったりしますよね
実際に損害賠償を
請求されて困っている方も
いるんじゃないでしょうか?
今回は退職時に会社から
損害賠償を請求される例と
不当な請求をされない様に
知識を共有していければと思います
自分自身を守るためにも
知識を身に着けて
不当な請求をされない様に
武装していきましょう!
知識は武器であり盾でもあります!
損害賠償は基本出来ない
従業員の業務は
会社に利益をもたらす為のものです
会社は利益を得る為に
従業員を雇って運営をします
従業員に働かせて利益を得ている会社は
損害が出ても、そのミスの責任を負う
必要があります
利益は得るけど損害は被りません
なんて都合いい話ある訳ないですからねw
民法第415条を分かりやすく解説
民法第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
超!ざっくり言うと
契約によって約束した義務を果たさないと
法的処置(損害賠償など)が発生しますよ!
ただしその義務を果たせなかった理由や
原因が、常識的に考えて責任を取らせることが
出来ない場合はその限りではないですよ!
って解釈です
例えば
お水を10ケース頼んでいたとして
そのケースを約束の日に届けられなかったら
損害賠償を請求できますが
地震・台風・津波・戦争等が原因で
お水を仕入れることすらできなかった場合
債務不履行となったとしても
責任を追及できないのです
ちょっと大げさな例になりましたが
契約の不履行や、意図的に
損害に繋がる行為を行った場合
会社は従業員に
損害賠償を請求することが
できると思ってください
ポイントは過失が故意的かどうか
交通事故を起こした場合
わざとぶつけたのかどうかで
責任問題は変わってきますよね?
退職時の損害賠償は
「これは間違いなく、故意的です」と
認められた場合は損害賠償の対象となります
逆に故意的ではなければ損害賠償の
対象外となりにくくなります
故意的な過失が認められる場合7選
故意的な過失が認められる場合を
紹介していきます
どれも非常識なことで
損害賠償を請求されても
しょうがないことと僕は思います
円満退社をするのであれば
特に紹介する7選には
気を付けましょう
退職の申し出なく突然or無断退職
通称「バックレ」です
人一人急にいなくなるだけでも
企業は損失を負います
飲食店では人員が一人
欠けるだけで
店が回らない
営業のアポがあるなら
アポ先の人を待たせる形になり
契約の約束をしているならば
契約そのものがなくなる可能性さえあります
しかもバックレと言うのは
バックレと判断できるまでに
意外と時間がかかります
事故にあったのではないか
事件に巻き込まれたのではないか
体調が急に悪化したのか
色々なことを会社側が心配するのです
連絡がつくまでバックレた人間の
穴埋めを会社全体でします
1日バックレるだけでも人やお金を
大きく動かすことになります
これは損害賠償になっても
文句は言えないですよね(^^;)
契約期間内の一方的な退職(有期契約)
有期契約、契約社員の方は
企業と雇用期間を定めて
業務にあたっています
1年以上の勤務をしていれば
雇用期間内だとしても
退職することは可能ですが
やむを得ない事由
- ケガや病気
- 過重労働
- 賃金の未払い
- パワハラ等のハラスメント行為の被害
これらの理由がない場合は
原則として雇用期間内での退職は
損害賠償に繋がることがあります
会社支援の海外留学や研修後、短期間での退職
会社はより多くの利益を生むために
社員のスキルアップ、レベルアップの為に
海外研修や新人研修を導入しています
資格取得をサポートしている会社も
多くありますが
(僕は電気工事士2種の費用は会社が負担してくれました)
例えば車の免許費用を全額だして
その従業員が免許を取得した次の月に
退職を申し出たら
「ふざけんな!慈善事業じゃないんだぞ!」
となりますよね?
この場合は請求されて当然でしょう
後述に裁判例もあるので
ご覧ください
入社後に即退社
会社は社員を入社させるときも
退社させるときも
人とお金が動いています
制服や名刺、道具の用意
デスクやパソコン、車まで
用意してくれる
会社もあるかと思います
それを入ってすぐ退職するとなると
会社としては動かしてきた
人員や経費や時間が丸々無駄になる訳ですから
損害賠償に発展しやすくなります
電気工事の会社に勤めていた時は
入社して半年も経たないで
退社した従業員が
引っ越し資金や工具代などを
請求されていました
(その話の途中で僕は退社したので最後までどうなったかはわかりませんm(__)m)
トラブルを起こして会社に損害を与える
トラブルと言っても様々ありますが
これはヤバいでしょって
いうのだけピックアップします
- 金銭金品の横領
- 暴力行為
- 情報漏洩
これらのトラブルは損害賠償に
つながります
損害賠償どころか
人生が終了してしまう可能性だって
ありますよね
トラブルの原因が会社からの指示だった場合は
責任を問われない場合もあります
会社からの指示だったらヤバいですけどねw
退職の意思表示後に無断欠勤
「退職届出したからもう出勤しない」
こういう人意外といるんです
退職の意思表示をしても
その会社には在籍しています
労働基準法16条において
あらかじめ違約金や罰金を
定めることは禁止されていますが
無断欠勤をしたことによっての
会社の損害が出たら話は別です
バックレと同様に
店が回らないや
引継ぎをしないことで
会社に損失が出た場合は
損害賠償の対象になりえます
退職日までしっかり出社するか
有給消化等使えるなら、それを使って
無断欠勤だけはしない様にしましょう
退職時の引き抜きや勧誘
退職者による引き抜きや勧誘も
損害賠償の対象になりえます
職業の選択そのものは自由なので
個人の引き抜きや勧誘は違法に
なりにくいです
問題になるのは
会社に大きな損害が出る
引き抜きを行った場合
例えば100人在籍している
社員の内、50人を
会社の悪評などを流して
引き抜いたとしましょう
この場合は引き抜きではなく
会社を潰しにかかっている
悪質な行為ですよね
計画的な犯行とも言えるでしょう
悪質的かつ背信的な引き抜きや勧誘を
行ったら損害賠償の対象になります
過去の損害賠償の例
退職に伴い会社から
損害賠償を起こされた事例を
何例か紹介していきます
ケイズインターナショナル事件
A社はB社と3年間の
ビルインテリアデザイン契約を履行するために
Xさんを雇用して、担当者にしました
ところがどっこい
このXさんは入社間もなく
病気を理由に欠勤して退職しました
本来得られるはずだった1000万円を
得られなかったとして
A社とXさんは交渉の末に、月末に
200万円を払う念書を取り付けましたが
Xさんはそれを払わなかったので
A社は怒って支払いを履行させるために
提訴しました
結果
Xさんは敗訴
200万の3分の1の70万と
5%の遅延損害金の支払いを
命じることになりました
裁判のポイント
- 1000万円は経費を差し引いても実損額はそこまでにはならない
- A社にも労務管理・採用の管理に問題があった
- XさんがA社に対して根拠のない非難を繰り返して、話し合いによる解決を頑なに拒否した
BGCショウケンカイシャリミテッド事件
XさんはA社と有期契約を結んだ
契約社員です
Xさんは有期契約期間内にも関わらず
一方的に退社を申し出て
会社に出社することなく
競合他社B社に入社
A社からの警告があったのに
無視したことが
A社の怒りを高値で買って提訴
A社は逸失利益等損害
(本来得られるはずだった利益の損害)
1100万円と弁護士費用110万円の
支払いを命じることになりました
裁判のポイント
- Xさんは一般社員ではなく、特殊社員でXさんにしかできない仕事があり、Xさんが関与する取引に大きな支障が出た
- 有期契約なのに労務を放棄して競合他社に移籍した
- 後任の採用コストが凄くかかった
- B社はXさんがA社に在職中なのかどうかの確認を怠っていた
ラクソン事件の事例
Xさんは英会話教室を経営していた
A社の取締役兼営業部長で
XさんはA社の売上の80%を占める
業績を上げていました
辞められたら困る人材だし
A社にとって経営上極めて
重要なポジションの占めていました
しかし、Aさんは
X社の業績不振や給与遅配が続いて
会社存続に不安を抱いて
取締役を辞める意向を示しました
その間もなくB社に移籍の話を持ちかけられ
Xさんが移籍することを前提に
Xさんのマネージャー含む部下を
引き抜くことを計画しました
そして慰安旅行と称して
部下たちを旅行に連れて行って
2、3時間かけてB社への移籍を説得しました
その後、Xさんやマネージャーを含む
部下たちはB社に移籍をしました
A社は従業員を大量に引き抜かれたことに
よって減少した利益を損害として
XさんとB社に損害賠償を請求
請求額1億円を請求し
870万円の支払いが認められました
裁判のポイント
- 計画的なかつ背信的な形で従業員を一斉に引き抜いたこと(引き抜きや勧誘方法)
- 従業員が退職することによって会社に与える影響
- 転職する従業員が会社で占めている地位
悪質ですよねw
不信感を持って会社を辞めるのは
まだいいとして
完全にA社を潰しにかかってますよね
これで870万で済んだのは
B社からすれば軽傷な感じもしますよね
むしろ優秀な人材を引き抜けたってことを
考えるといい買い物したみたいな感じもしますが
肯定はしてないですよ?w
認められた金額が安すぎるなーって思う感じです。はい
長谷工コーポレーション事件の事例
A社の従業員であるXさんは
会社の海外留学制度を利用して
留学をしました
この留学制度は会社命令ではなく
Aさんの自由意志で行われたもので
一定期間を経ないで退社をした場合
留学にかかった費用の一切を返却する旨の
誓約書を書いています
留学後2年半ほどで
A社を退社した為
A社はXさんに対して
留学費用の内、学費分の470万円の
返還を求め
裁判所は返還請求を認めました
A社はXさんの留学費用に
約850万円を支出しています
裁判のポイント
- 留学制度は会社命令ではなくAさんからの応募の為、賠償予定の禁止(労働基準法16条)には触れない
- 留学を業務ではなくプライベートの留学という捉え方をしている
- A社への勤務の継続に関わらず有用な資格や経験とみなせること
プライベートで海外留学したかったら
お金貸すよ。
帰ってきてちゃんと働いてくれれば
返済免除するよ。
条件としてはいい条件だとは思いますけど
留学費用全額出してもらってるのに
2年半足らずで辞めるのは
もったいない気もしますね
知っておくべき民法715条 使用者責任
使用者責任とは
従業員が第三者(人や会社)に
損害を発生させた場合
会社も連帯責任として被害者に
損害賠償の責任を負う法制度です
セクハラや暴力、従業員の過失による
業務上の事故や交通事故などの場面で
会社の使用者責任が問われます
会社は利益を出すために従業員を使って
営業活動を行います
人を使って利益は得るくせに
損害が出たら従業員の責任にするのは
ありえないことですよね?
利益を得るためにやっているならば
損害が出てもその責任は会社も負うべきと
僕は考えます
会社の命令に反して
損害を出した場合は従業員の責任に
なるとは思いますが
従業員を雇って、使っていく以上は
使用者(会社)は従業員が
発生させた損害に対して責任を負う
義務があります
ざっくり見解ですけど
やれって言われたことやって
失敗したらケツふかせるって
ヤバいから命令した人がケツ拭いてね
って制度で
これを分かってないで従業員に
損害の請求をしたり
責任逃れをする会社は
とっても多いので
この使用者責任については
絶対に知っておくべきですよね
突然退職でも損害賠償を請求されない場合もある
結論から言うと
有期契約、無期契約問わず
入社前と入社後での条件
(労働時間・業務内容・給与など)が
違った場合は即退職(契約解除)しても
損害賠償の対象にはなりません
労働基準法第15条にて
明示された労働条件が事実と違った場合
労働者は即時に契約解除できる
と定められています
契約内容違うのに辞められて損害賠償を
請求したら逆にカウンター貰いそうですよねw
損害賠償を脅しの道具として使う会社
労働者と使用者の関係は
労働者が働く代わりに
使用者が給料を払うということであって
労働者から会社にお金を払うことは
例外が無い限りありえないです
故意的な過失で会社に損害を与えない
限りは会社が労働者に損害賠償を
請求することはできないのであります
僕の先輩がトラックのオイル交換を
命令されて、オイル交換をしたら
「オイル交換をしてからトラックが動かなくなった。新しい車を買わないといけないから300万払え」と
請求されて、払わない方がいいと伝えたのに
真面目に今も毎月決められた金額を
支払い続けています
こういう責任感が強いことを理由に
あり得ない請求をしてくる外道な
会社もあるので
万が一不当な請求をされた場合は
怖いかもしれませんが
待ったをかけて、その請求が
本当に正当なのか調べましょう
まとめ
いかがだったでしょうか?
僕自身も会社から不当な
損害賠償をされたことがあるから
今回はこういう記事を作りました
この記事が不当な請求に悩んでいたり
退職をするときに損害賠償を
請求されないかと不安になっている方の
力になれればうれしいです
ではまたm(__)m
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